研究概要 |
電子図書館分野では電子的情報資源の保存の重要性が認められている。特に,電子的に作成された資料(Born Digital Resource : BDR)の保存が現在の研究課題として認められている。BDRの保存には,資料を適切な粒度にまとめた上で,資料の内容や利用者対象等に関する記述を与えること,資料の来歴や他の資料との意味的関係といった背景情報を記述すること,資料の利用や保存のためのソフトウェア等の技術的項目に関する記述が求められる。 長期保存のための情報パッケージはOAIS (Open Archival Information System)の取り決めによると、次の要素からなっている。 (1)内容情報:(1a)主データオブジェクト、(1b)その表現情報 (2)保存記述情報:(2a)参照情報、(2b)環境情報、(2c)来歴情報、(2d)不変性保護情報 われわれは、保存すべき情報オブジェクトの粒度を次のように分類した。すなわち、(a)アイテム:図書館が所有している個々のオブジェクト、(b)クラス:他機関で保存されているオブジェクトで、図書館からアクセスヵ享許されているもの、(c)コレクション:一つのデータベースに編成されたオブジェクトの収集物。 考察の結果、アイテムレベルのメタデータにはOAISの(1)(2)のすべてが必要であるが、クラスレベルのメタデータは(2)のすべて、コレクションレベルのメタデータは(2c)(2d)のみでよいことが分かった。
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