研究概要 |
本年度はオンラインADR(紛争に関する助言・斡旋・調停・仲裁)に関して,以下の成果を得た。 1.消費者センターにおける自動相談システムの開発と評価実験 昨年度は相談事例から人間の手でルールを抽出し,自動相談のWebページを作成したが,本年度はその仕組みを拡張し,以下のように相談事例から自動的に相談のWebページを生成するシステムを開発した。 まず,相談員と相談者の間のメールを自動的にXML文書に変換し,事例データベースに蓄積する。次に個々の事例について特徴的な部分に人手でマークを行うと,帰納推論を行って,相談を行うためのWebページを自動的に作成する。 このシステムを実装して,相談員の方々に評価していただき,相談員の方々の想定するWebページとの差異が少ないことを示した。 2.擬人化エージェントを利用した,オンライン調停支援システムの機能の拡充 昨年度に開発を始めたオンラインの調停支援システムに関して,複数の法律の専門家に評価していただき,事例検索機能やCGアニメーションの表情制御機能などの拡張を行った。 3.模擬調停事例の収集と分析 オークション取引におけるトラブル事例について,3名1組(調停者,落札者,出品者)の模擬調停を行い,論点の推移の分析や類似場面の検索についての分析を行った。15組の実験を行ったところ,オンラインシステムを用いても,実際の対面調停と比べて,発言内容が制約されることはなく,むしろ,論理的な議論が可能であることを示した。
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