研究概要 |
本研究では,信頼性の高いソフトウェアコンポーネント技術を発展させることにより,ソフトウェアシステム開発保守運用の低コスト化を進めた.既存技術よりも更にソフトウェア部品(以下部品)の再利用性の高いシステムの構築方法を提案することで,数多くの業種に適合した安価で信頼性の高いシステムを増産可能にし,社会全体の業務の情報化を推進することを目的とする.本研究では,以下の研究項目を達成した. (1)移動エージェントを利用した部品結合・保守管理自動化システムの実装・評価 (2)移動エージェントを利用した部品の蓄積・機能情報管理システムの実装・評価 本研究を進める上で重要な要素技術には,エージェントに基づくソフトウェア部品の自動結合・分離技術と必要な部品の探索技術があり,これらの提案が重要課題となる.本研究では,実用面での本研究の有効性を実証するため,研究室博士学生金指が興したベンチャー企業(有)カラビナシステムズと連携し,研究を精力的に推進した. 本研究計画では,宮城大学側での移動エージェントおよび開発方法論に関する基礎研究と,カラビナシステムズ側のソフトウェア部品を利用した業務システム開発環境構築に関する基礎研究の成果を融合した.部品管理・配信技術に移動エージェント技術を応用することで,システム構築に必要な部品の検索がエージェントにより自動化されることが期待できる.また部品結合には宮城大学側の開発方法の基礎研究が応用可能であった.部品の探索や結合は,既存の部品と新規の部品との互換性を調べ仕様に合わせて結合する必要がある.これらは,現状では人間が通常作業を行うが,本研究ではこの部品結合作業の自動化を実現した. 本年度は,平成14年度の成果に基づき,初めにソフトウェアコンポーネント自動化システムを構築完了させる.その後,更に高度な部品配信システムとして部品情報管理機構の提案を行う.それと同時に実際のシステム構築に効果をもたらすために,本システム開発の枠組みによる開発環境の提案を行う.様々な実行環境下で動作するシステムが構築可能であることを実証するため,各種モバイル端末を利用した運用実験を行い,広い応用範囲を持つシステム開発の基盤技術を確立する.
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