研究概要 |
校内放送を指向した放送コンピューティングを実現するためには,全体のアーキテクチャ,放送用プロトコル,放送コンテンツについて検討する必要がある.本年度の研究の目的は、コンピュータネットワークを用いた校内データ放送の基本アーキテクチャを提案し,プロトタイプを構築することにより方式の有効性を検証することである.具体的には,効率的なストリーミングデータ受信方式の検討とストリーミングデータ受信実験の実施を計画した.ネットワークの広帯域化と共に,ストリーミングデータに対する需要が高まり,校内データ放送においてもストリーミングデータの放送方式を検討することが必要となってきた.校内におけるストリーミングデータの放送で問題となるのは,多くの学生が同じストリーミングデータにアクセスした場合,ただちにオンデマンドでは見えない可能性が高くなることである.そこで本年度は,マルチキャストされたストリーミングデータを受信すると同時に,アクセス前に放送されたストリーミングデータを圧縮しユニキャストで通信する方法を検討した. 本研究では,サーバーからマルチキャストを用いたストリーミング配信を行うと同時に,放送開始後に視聴要求を出した途中参加クライアントは,サーバーの指示に従い放送済みのコンテンツを他のクライアントからユニキャストを用いて受信するプロトコルを開発した.本手法では,サーバーは要求を出したクライアントの情報に基づいたスケジューリングを行うことにより,クライアントの負荷を分散すると同時に,放送済みのコンテンツを他のクライアントから受信することによりサーパーの負荷を軽減している.提案アーキテクチャに基づいたプロトタイプを構築し,評価実験を行い従来方式と比較した結果,サービスを受けるまでの待ち時間が短縮されることが確認された.これら放送コンピューティングと遠隔教育に関する研究成果は,4つの国際会議と2つの研究会で報告された.
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