研究概要 |
校内放送を指向した放送コンピューティングを実現するためには,全体のアーキテクチャ,放送用プロトコル,放送コンテンツ,校内放送ネットワークのセキュリティについて検討する必要がある.また,校内放送の特性上,ストリーミングデータの配信を中心に考えなければならない.そこで本年度の研究では,動画コンテンツの作成から,安全な配送,動画コンテンツの蓄積までを取り扱うこととし,具体的には映像の自動撮影手段,ストリーミングデータを効率的に配信するネットワークプロトコル,ストリーミングデータの認証方式,配信された大量のコンテンツの蓄積方法に関する検討を行った. セミナーや輪講の効果的に撮影するためには高度なカメラワークを必要とし,撮影のための人手を用意しなければならない.そこで,映画の映像理論に基づいた自動撮影手法を開発し,会議を自動撮影するシステムを構築した.動画転送に対応してネットワークのブロードバンド化が進むと,高速転送向けのTCPが普及し始め従来のTCPと混在する可能性がある.そのような状況では帯域割り当ての公平性が損なわれることが考えられ,それに対処したプロトコルの検討を行った.それと同時にセキュリティを確保することの重要性は今後ますます高まるものと思われ,動画のようなストリーミングデータの新しい認証方式を提案し,安全・安心な放送が可能になることを目指した.一方,受信された動画データの蓄積には大きな要領を必要とし,データの整理は必需となる.このような面倒な操作を軽減するために,データの参照程度と経過時間に応じて自動的にデータの圧縮,メディア変換,削除を行う手法を開発し,これをデータの風化手法と名づけた. 以上の研究成果は,2編の論文,1編の国際会議論文,3編のシンポジウム,ワークショップおよび研究会報告集として刊行された.
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