研究概要 |
校内放送を指向した放送コンピューティングを実現するためには,全体のアーキテクチャ,放送用プロトコル,放送コンテンツ,校内放送ネットワークのセキュリティについて検討する必要がある.また,校内放送の特性上,ストリーミングデータの配信を重要視する必要がある.そこで本年度の研究では,まずストリーミングデータを効率的になおかつ安全に転送する新しい方式を提案し,シミュレーションによって提案方式の有効性を検証した. また,これまで2年間にわたって試作を重ねてきた校内放送コンピューティングシステムのプロトタイプの評価方法を検討した.プロトタイプシステムでは実際に運用できるほどの規模ではないこと,また運用評価にはかなりの期間を必要とすることからシミュレーション評価とすることにした.そこで,シミュレーション用のデータを集めるため,実際の大学の掲示板で掲示されているものを収集した.次に,これらの膨大な掲示情報の分類を行い,場所,対象,重要度,有効期間,情報源などの属性にまとめた.そしてこれらのデータに基づいて,メディアや情報の重要度による違いを考慮した放送スケジューリングの検討を行った.検討結果に基づいて,放送間隔,放送回数,有効期限などをパラメータとして数多くのシミュレーションを行い,放送コンピューティングの概念を次世代の校内放送に応用することの有用性を確認した. 以上の研究成果は,1編の国際論文,2編の研究会報告集として刊行された.
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