本年度は研究最終年度なので、本研究の目的である自律的でオープンなまちづくりの理論モデル及びWebを用いての地域計画文脈形成実験結果のとりまとめを中心に行った。まず、海外研究協力者との議論を踏まえ、地域計画の主たる計画文脈が戦後どの様に変遷を遂げてきたのかを整理し、その中で現在の計画論の諸問題と本システムの意味を大きな流れの中で位置づけた。特に社会的に情報通信基盤が世界的レベルで整備され、Webに見られるような多種多様な社会環境情報へのアクセスが誰にも可能になり、携帯電話の普及でコミュニケーションスタイルが変化した現在、地域という場所の意味が大きく変わってきている。これらの地域計画に関わる社会環境の変化に対応し、Webを用いた地域計画文脈形成の方法論として、多種多様なデータや情報を集約し、地域に関するコミュニケーションから一貫した地域文脈を立ち上げる情報システムのデザイン指針を纏め、実験的なインターフェイスプロトタイプをデザインし、実験を行いその特性をまとめた。また、地域文脈の表現方法についてもまとめることができた。これらの成果は海外研究協力者との議論も踏まえ、平成16年度夏に開催された英国ニューカッスル大学と早稲田大学の地域計画に関する共同シンポジウムにおいて、"情報化社会における地域計画"として発表し、多くの主体の環境認識に基づくWebを通してのコミュニケーションにより地域計画の文脈を形成する方法及びそのシステムの運用を巡る特性と課題及び実験結果の一部について報告した。更にその成果を踏まえて今後の課題をとりまとめた。
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