平成14年度の研究実績は以下の通りである。 1.研究実験協力校の選定と電子図書室の構築 本実験を進める上で、盲学校や視力障害センターなど著作権法上の問題が少ない協力校を数校選び、訪問して実験依頼を行った。 視力障害センター関係では、(1)国立身体障害者リハビリテーションセンター(所沢)、(2)国立塩原視力障害センター、(3)国立函館視力障害センターの3カ所で実験協力を得て、(1)の国立身体障害者リハビリテーションセンターでは、相手先のサーバに電子図書室を設置して実験を進めている。(2)の塩原と(3)の函館では、ネットワーク回線の問題から、筑波技術短期大学に接続して実験を進めている。 盲学校関係では、鳥取盲学校で、相手先のサーバに電子図書室を構築して、実際に授業などで活用し、その評価を行っているところである。鳥取盲学校では、すでに教室に各2台のパソコン端末が設置されているため、電子図書室を利用しやすい環境である。また、熊本盲学校で現在サーバの設定を行っているところである。その他、教室にパソコン端末がある盲学校を中心に数校協力依頼を行った。 2.遠隔地通信実験 函館と塩原から筑波への電子図書の閲覧実験を実施した。墨字(一般図書)や点字の電子図書は、ファイルサイズが小さく、殆ど問題とならないが、電子録音図書では極めて負荷が大きく、相手先の回線速度に依存することが判明した。函館と塩原は現在、128kbpsのINDS回線なので最高速度は、110kbps程度で、300MBの巨大な電子録音図書は、ストリーミング再生を行っても回線エラーが頻繁に発生し、ブロードバンド導入か、新しいプロトコルの導入かを検討せざるを得ない状況である。 3.電子図書閲覧用の端末ソフトウェアの整備 全盲では、点字や録音図書の電子ファイル再生ソフトでは、画面読み合成音声に対応していれば問題は少ないが、弱視の場合、眼疾によって見え方が異なるため、様々なソフトで対応せざるを得ない状況であったが、視野・視力にあわせて、表示色・背景色・表示サイズ・表示幅などについて変更可能なソフトを現在開発中である。
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