平成16年度の研究実績は以下の通りである。 1.研究実験協力校の変更 各地の視力障害センターや盲学校で高速回線が整備され通信速度を考慮する必要がなくなり、電子図書室構築に伴う現実的な課題が問題となってきたため、実験協力校を大幅に変更し、実際に電子図書室の構築が可能な数校に限定し実験依頼を行った。 2.電子図書室の構築 各学校内のサーバを借用したり、簡易型のサーバを利用して、電子図書室を数校に実際に構築した。現実には、様々なデータをどのように活用するかと言った利用面での問題点が浮かび上がり、特に端末での利用形態が問題となってきた。また、各校で電子図書を管理したり、図書室の書誌を管理するシステムに対する要望が大きくなってきており、今後の大きな検討課題である。 3.電子図書閲覧用の端末ソフトウェアの整備 専用ソフトを利用した電子図書閲覧よりもワープロやインターネットブラウザを利用した方法を指示する声が多かったが、実際に児童・生徒や入所生の感想は自分が利用しやすい環境よりも見えやすい環境であることが最も重要であると言う意見がほとんどであった。したがって、各個人の視覚障害状況に適応させた利用環境の整備が重要であることが見いだされた。 4.校内サーバの管理 事実上、実際依頼校に設置している実験用サーバの管理が不可能であることが判明した。専門の知識を有しない学校の教員がサーバの管理を行うことは無理であり、簡易サーバを利用するか、学校内のサーバを利用する方法が最も適切であることが示唆された。また。各校からデータ連携を行う際は、ファイアウォールの問題から、データ通信が思った通りに行えないため、中心校(今回の実験では筑波技術短期大学)をハブとしてデータ連携を行うことが現実であった。この事から簡単な管理方法の開発が急務であり、専用サーバを利用しないシステム開発が、今後の課題となった。
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