サプライチェーンマネジメント(SCM)とは調達、製造、流通、販売にわたる物流のビジネスプロセスを統合的に管理する方法である。一方、ビジネスモデルとはインターネット等に代表される情報ネットワーク技術を用いた、革新的で有用なビジネスの方法である。本プロジェクトの目的は、インターネット等の情報ネットワーク上で重要管理と供給管理を統合するための理論的枠組みを構築することにある。 本年度は、本研究の初年度であり、その基礎となるビジネスモデルについての調査研究と産業会との情報交換を行った。特に、本研究代表者が主催する筑波大学ビジネスモデルプロジェクト(UTBUMP)研究会を通じて、産学官の連携と研究討議を行った。その成果は、「高度ネットワークを用いたビジネスモデルの開発と研究」と題した報告書にまとめられており、産学官の参加者に発信された。また、本研究代表者はオペレーションズ・リサーチ誌において、ビジネスモデルの特集号をゲストエディターとして編集し、ビジネスモデルの実践と研究についての現状を紹介した。 グローサリー産業におけるSCMの実情調査研究として、日本市場に特有な消費者の強い鮮度志向性に着目し、セブン-イレブン、イトーヨーカ堂、ヨークマート、東洋冷蔵のフィールドリサーチを行った。鮮度志向食品のサプライチェーンの構成と、その運用を調査し、特徴を抽出し、この分野の国際学術雑誌であるECR Journalに発表した。鮮度志向の商品のSCMの研究としては、先駆的な研究であると認識している。 半導体産業のSCMの重要な要素である、生産管理とスケジューリングにおいては、従来、事象駆動型のシミュレーションの適用が現場では試みられているが、計算時間がかかりすぎるので、用いられてはいない。そこで、一定時間間隔毎に近似的なシミュレーションを行う方法を開発し、計算時間を大幅に短縮し、その正確性を評価する論文を発表した。
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