技術経営論(テクノロジーマネジメント)の確立が望まれている中で、新技術や新製品の研究開発の効果的な方法(研究開発マネジメント)に関する研究は、非構造・非定型な対象であるため取り扱いが比較的難しいこともあり、なすべき多くの研究対象が山積している。 そこで、本研究では、近年重要性が認識されているが、研究実績の少ない「学際研究」に対して、その効果的な研究開発マネジメントの確立を目指すことを最終的な目標としている。 平成14年度は、まず、「学際研究」をマネジメントの観点から4階層に分類した。すなわち、(1)個人レベル、(2)少人数のグループレベル、(3)研究所などの事業所レベル、(4)企業レベルである。それぞれの階層に対して、研究開発マネジメントの手法を提案した。(1)個人レベルでは、コンピュータのデータ処理能力と人間の直感との共同方式、(2)の少人数のグループレベルには、組織知能システム、(3)の研究所レベルには構想立案型人材の活用方式、(4)企業レベルには、組織の枠を超えた技術経営イニシアティブである。 上記の中で、特に、(2)少人数のグループレベルに対しては、組織知能システムのパイロットシステムを開発した。これは、異なる分野からなる研究者の議論の過程を、従来研究に多い知識だけでなく、新たに観点からも分析し、コンピュータに蓄積して、異分野の考え方を理解させ、学際研究を促進させようとするものである。
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