研究概要 |
新技術や新製品の研究開発の効果的な方法に関する研究は、技術経営論の中でも、非構造・非定型な対象のため取り扱いが比較的難しいこともあり、なすべき多くの研究対象が山積している。このなかでも,本研究では、近年重要性が認識されている「学際的研究」を対象としている。平成16年度には,事業所レベルと企業レベルの両者について研究を行った。 事業所レベル関する研究では,特に,製造業における研究開発において重要な役割を果たす設計(計画)と製造(実施)の効果的な連携を対象に取りあげた。先駆的事例の調査を踏まえて,複合的な連携の過程を,「情報の伝達と有効活用」と「機能・役割の置換」を結合した「連携の連鎖モデル」で表現できることを明らかにした。さらに連携の連鎖の発生を3パターンに分類し,パターンごとに連携契機の発生方法,連携連鎖の接続方法,さらに,他事例への応用展開方法など,連携を効果的に発生・強化させるための実務的に活用できる方法を提案している。この方法を適用することで,研究と開発両部門の持つ学際的知識を効果的に運用することが期待できる。企業レベルの研究では,既存組織の壁を破る新領域を目指す革新的研究開発を実行するための「企業革新エンジン」機構を提案した.これは,多くの種々の事業分野からの研究者・技術者を一同に集め,数ヶ月間にわたり融合的プロジェクトを考案させ,それを経営トップに提案させる機構である.実際に我が国の代表的電機メーカーにおいて実施し,その効果を確認した.
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