研究課題
基盤研究(C)
粉じん爆発事故の潜在危険性は、近年の技術の高度化、多様化にともない、増加している。新技術等に対応するためには、現状の実地試験に基づく粉じん爆発防御技術から、応用性のある科学的で系統的な手法への転換が望まれる。そこで、本研究では実験およびモデル化を主体として、現象の科学的解明(火炎構造、燃焼機構の解明)をおこない、粉じん爆発現象の科学的現象解明と粉じん爆発に対する安全管理手法の高度化に資する以下の成果を得た。(1)粉じん爆発時の火炎伝ぱ現象を詳細に解析するのに適した実験手法を確立した。沸点の比較的低い可燃性固体試料について、加熱液化し液体状でノズルから噴霧し空気中で急速冷却することにより浮遊可燃性浮遊粉じん雲を形成するシステムを構築した。粉じんサイズや濃度を広範囲に自由に調整でき、粉じんサイズ・濃度条件の詳細な影響評価が可能となった。(2)実験で撮影した粉じん爆発時の火炎伝ぱの高速度画像の解析により、火炎先端の伝ぱは、空間中に局在する浮遊可燃性粉じん中を不連続的に燃え移る現象では無く、火炎先端が連続的に拡がってゆくことにより伝ぱが達成されることを明らかにした。(3)燃焼帯からの化学発光(火炎帯に存在するOH、CHラジカルからの発光)の観察により、火炎の先端である燃焼反応の開始位置について解析し、燃焼反応の開始位置は、可視域の観察で発光部として認識される火炎先端よりも、数mm前方にあることを明らかにした。(4)粒径分布を変化させた実験において、燃焼限界が小さな粒子の数密度に強く依存するという結果より、火炎の先端の燃焼帯が小さな粉じん粒子の燃焼によって支えられていることを明らかにした。(5)(2)〜(4)の知見を熱移動、気化、物質輸送などの点から総合的に解析し、粉じん爆発時の火炎伝ぱ機構について、理論的モデル化をおこなった。上記成果は、粉じん爆発の防御という安全工学的意義のみならず、不均質な系における火炎伝ぱ現象という、燃焼学の学術的意義も有する。
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Proc.of the Second International Conference Fire Bridge 2005 (CD-ROM)
Proc.of the Second International Conference Fire Bridge 2005
Proc.of the 11th International Symposium Loss Prevention and Safety Promotion in the Process Industries Paper No.0933
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第37回 安全工学研究発表会講演予稿集
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Proc.of Annual Symposium of Japan Society for Safety Engineering 2004
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