研究概要 |
化学プラントなどの大規模設備における事故の90%以上は過去の繰り返しであるといわれている.一方,企業が保有する危険評価情報,事故情報,事故ニアミス情報には,設備故障によるプラント機能への影響,安全性への影響,事故事象に至るシナリオ,さらに事故防止のための対策に関する情報が含まれている.しかし,これらほとんどの情報は紙面上または単なるワープロ上に記述されたものであり有効に活用されていない.本研究ではこのような危険性,安全技術情報を安全管理に活用するためのシステムを構築した.このシステムはプラント設計時,運用時における安全関連業務に際して,適宜,プラント設計者,運転員等に安全技術情報を提示することを目的としている. 実プラントを対象としたHAZOP解析結果シートを基にデータベースを構築した.解析結果シートに記述された原因,影響,対応・検知に関する情報をインタフェースを通じて入力する.これにより,文章表現を統一することが可能となる.さらに,企業が保有している保全履歴情報を体系化・構造化し,デーベースを構築した.これらデータを管理運用するためのシステムを構築した.プラント設計時にはプラントに潜在する危険情報,対応安全技術をデータベースより抽出し提供することが可能である.プラント運転時には,センサー情報に対応した異常進展シナリオをデータベースより推定し,運転員に提示する.これによりプラント異常発生時に対する操作決定、操作支援することが可能である.
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