大都市圏内の都市地域を対象とした街区単位(100m四方の土地区画単位)の土地利用動態モデルの開発研究と、都市内の住宅地区、商業地区、幹線道路沿道地区を対象とした10m四方(あるいは50m四方)の宅地区画単位の土地利用動態モデルの開発研究を進展させた。 具体的には、都市域対象の研究では、千葉県柏市、我孫子市を中心とした、10km四方の地域を事例地域とし、都市の中の地区を対象とした研究では、木更津市と国道16号線ぬ道を事例地域とし、さらに木更津市の比較対照地域として、佐倉市と我孫子市を採用した。 首都圏の細密土地利用データ(10mメッシュ単位、5年間隔5時点分)を利用した統計解析により、街区単位レベルと宅地区画単位レベルにおける、土地利用用途間の遷移ポテンシャル関数の推定を行なった。遷移ポテンシャルの説明要因には、対象街区(区画)自体の現況用途、対象街区の近傍の街区(区画)の現況用途、対象街区の交通利便性(鉄道駅への近接性、幹線道路への近接性)、都市書画による規制条件の有無、自然条件(傾斜など)が含まれるが、特に、近傍街区の用途および交通利便性と遷移ポテンシャルの関係に重点を置いた分析を進めた。 その結果、遷移ポテンシャルと近傍内のある土地利用の街区の個数の間の非線形な関係、あるいは、遷移ポテンシャルに与える近傍内の各用途の影響の相対的な強度についての知見が得られた。また、3都市市の比較研究からは、住宅用途への遷移ポテンシャルについて、近隣の土地利用状態を説明要因とした関数の形状が、地域の違いによらないことが確認された。 街区単位の研究では、遷移ポテンシャルの要因に従来考慮していた、利用による効用・収益に関する要因の他に、費用要因である「地価」を含めた新モデルを提案した。新モデルは、従来のモデルによる、過去の土地利用変化に対する説明精度に比較して、かなり高い精度を実現できた。
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