研究概要 |
本研究では「フィールドデータのための統計的解析」を研究目的とした.そしてフィールドデータの特徴を考慮した統計的解析方法を検討している.平成15年度は少数データにもとづく推定問題を引き続き行うとともにランダムセンサードデータに対して推定問題を検討した.さらにPOSデータに代表されるマーケティング分野における大量データの統計的扱い方についても言及した. 少数データの代表となる医療現場では,日々治療方法を検討している.治療効果をできるだけ早期に判断するためには,少数データから何らかの結論を出さなくてはならない.そこで今年度も,フィールドデータとして主に医療データについての解析を検討した.また医療データは少数であるばかりでなく打ち切りデータとなる場合も多い.そこでもBootstrap推定法を用いて,寿命にワイブル分布を仮定した母数の推定を考えた.その際少数データであり,かつランダムセンサードデータを仮定した.そしてその推定方法について,MSEの観点から推定精度を検討し,適用例として肺癌患者の医療データを採り上げた. 大量データの統計的扱い方については,顧客との長期的な関係を重視したCRM(Customer Relationship Management)の実現に向けたデータの分析と活用方法について検討した.実際に企業のデータを基に,出店戦略・顧客戦略・商品戦略の関連性をPOSデータ,顧客データ,地域データなどの情報の共有化という観点から,統計的に検討した.また,最近のインターネットの普及による商品取引の増大に伴いネットスーパーの需要も高まっている.そこで某企業の協力により,ネットスーパーにおけるCRMについて検討した.まず,顧客を層別し,顧客層毎の購買意欲向上要因を抽出した.それに基づきメールマガジンの配信を計画し,層別および抽出した要因が,売上から見て効果的であったことを確認した.
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