研究概要 |
電子商取引(EC)におけるwebサーバアクセスオペレーションの性能評価法を確立するためには: (1)ECアプリケーションユーザがproxyサーバを介してwebサーバにアクセスする手順(プロトコル)・オペレーションを詳しく調べモデル化する問題; (2)モデル化したオペレーションを待ち行列理論を用いて解析する問題がある. 一昨年度は主に問題(1)の解決に時間を費やし,昨年度は主に問題(2)の解決に時間を割いた.今年度はこれらの結果を統合化し,webサーバアクセスオペレーション全体の評価を行なった.また,問題(2)の更なる解決を目標に,webサーバへのアクセス要求過程のより現実に近いモデル化を検討し,新たなシステム評価理論への道標を示した. webサーバへのアクセス要求過程に対して,前年度に仮定したような再生過程が待ち行列理論・性能評価理論では非常に一般的であることが人口に膾炙されているが,実際のwebシステムでは,ユーザ行動がサーバアクセス過程に関与することも多い.例えば,システム応答時間が長いと,ユーザは結果を待ちきれずにリロードボタンをクリックし,この動作が再要求(いわゆる再呼)を引き起こす.再呼の存在は再生過程でモデル化不可能なことを示している. さて,再呼モデルの基本的な解析は既存文献に数多く見られるが,厳密解が得られる場合は非常に限られており,本研究対象のオペレーションに既存理論はそのまま適用できない.ここでは,所要の性能評価尺度(ECアプリケーションユーザ毎応答遅延時間等)を考慮した再呼モデルを提案し,その有効性をコンピュータシミュレーションにより確認した.得られた成果の一部は既に論文発表してきたが,今後も学会論文誌に投稿予定である.
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