研究概要 |
当初の研究計画にあるように,進化的学習モデルの定式化をエージェントベースモデリングの観点に基づいて,特にハイパーゲーム型のモデルと分配型のモデルの方向から行った。 ハイパーゲーム型のモデルについては,3人ネットワーク型動的ハイパーゲームの場合について,従来の限定的な利得行列に対する学習過程がどの程度一般的な利得行列に有効であるのかを利得行列全体の空間を考慮して系統的に調べた。 分配型のモデルについては,組織学習の基本的概念であるシングルループ学習とダブルループ学習のレベルを考慮した分配型のモデルを新たに構築した。このモデルは,生産関数の類推から従来研究のモデルを拡張したもので,ハイパーゲーム的状況を一般化したものとなっている。このモデルにおけるダブルループ学習としてのエージェントの状況認知の学習をモデルが論理的に識別できるすべての状況に関して行うことに成功した。 組織学習の応用分野として,消費者集団における選好関数の進化,学習過程をモデル化し,そのシミュレーションを遺伝的アルゴリズムにより行った。モデルは,消費者集団と,消費者にとっての環境である製品の動的変化を表す製品空間とを区別し,製品空間の動的特性を変化させて,環境の変化に消費者集団がいかに適応していくかを解析する枠組を整えた。シミュレーションでは,新規マーケットでの潜在的な優良顧客の特徴を抽出することに成功した。 これらの研究成果について,米国社会シミュレーション学会(NAACSOS)やアジア太平洋エージェントシミュレーション学会(PAAA)および計測自動制御学会システム工学部会研究会等において発表を行った。
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