研究概要 |
高齢社会到来により増加する高齢者の適正な消費拡大が社会・経済に大きな影響を与えるとの考察に基づき、以下の3つのテーマについて研究した. (1)アンケート調査の実施:全国約2,000の社会福祉施設を対象に郵送調査を実施し、約250件の有効票を回収した. この調査から、(1)高齢者に関する消費トラブルが益々増え、一方、社会保障関係費の圧迫などが原因して社会福祉施設が不足することになり、したがって、高齢者が生活自立するための消費者教育が必要となる.(2)現状においては社会福祉施設において高齢者に対する教育はほとんど実施されているとは言えず、将来に向けての具体的なアイディアが不足しているのが実態である.痴呆高齢者に対する現状はさらに厳しいものがある.(3)また、地域介護を充実させ、福祉や介護を担う人材を増やしていくべきであるとの意見が多い.などの結果が得られた。さらに約2,000の福祉施設へWeb調査を試みたが,10の回答を得たのみであり、アンケート手法としては有効性が低いことが判った. (2)消費者リハビリテーション(リハ)の実施:大分県三重町所在の通所リハの協力を得て、消費者教育リハを実施し、事前事後の評価を行い、消費者教育リハの将来像を提案する基礎を実地教育の面から研究した. (3)日常生活行為の評価表の試作と試行:高齢者や軽度痴呆高齢者が消費者として社会参加できるよう、可能対象者の特定のため、消費者視点を盛り込んだ日常生活行為の評価表を試作し、それを臨床の現場に持ち込み、在宅訪問を行っている2症例の評価を実施した. 以上の研究を通じて、今後さらに、国内外の先進的な教育実践の事例等を調査研究すると共に、高齢者に対する実際の消費者教育方法やプログラム開発の必要性が高まったと言える.
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