研究概要 |
固定資産路線価式評価において,標準宅地の鑑定価格と土地価格形成要因から路線価を算出する方法の妥当性について検討することは非常に重要である.本研究では,路線価評価方式の成否を支配する土地価格批准表(格差率)の算出手続きについて改良を施すことにより,新しい固定資産宅地評価法を提案する.具体的には,数量化理論I類を適用していた従来法の問題点を克服するために,2次計画法に基づいたアプローチを提案した.また,土地価格形成要因と標準値価格の間に比例ハザード性が成立すると仮定することにより,有名なCox回帰モデルに基づいて士地価格批准表を介しない新しい固定資産路線価式評価法を開発した.さらに,土地価格形成要因データを用いて各種統計量を推定するためのアルゴリズムについても考察を行った.本年度は,予備実験として,アルゴリズムの正確性を把握することに焦点を絞り,提案アルゴリズム(ノンパラメトリック法EMアルゴリズム)の定性的な性質を,ソフトウェア障害発生データなどを用いることにより検証した.これにより,次年度以降で実施される実際の標準宅地鑑定価格と土地価格形成要因に基づいた実証分析を行う準備が整った形となる.実際にモデルケースとして,広島県東広島市における宅地評価を行い,本手法の有効性を多角的に検証する.
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