本研究は複数の薬を服用することによって生じる「薬の相互作用」を、視覚伝達テザインの領域から「安全のテザイン」として提案することを目的としている。本年度研究は、医師が指示する処方せん薬と一般薬店で購入できる薬を区別し、誰もが日常いつでも購入できる薬店の薬をまずサンプル対象とし、安全のデザインへ向けてのシミュレーションを行うこととした。薬店の薬分類は、基本的には治療薬マニュアルの63分類を参考に、一般に多く薬店にて購入される「解熱鎮痛」「鎮咳」「胃・消化」をコアとした。コアの各成分とその他薬品成分との関係性を把握する作業を行った。「併用禁忌」と「併用注意」の区別を前提に、その確認・把握ができる視覚的表現を多面的に検討した。設定したコア成分と他成分の関係性は、ストックデータとしている.これらのデータは医薬品全体のきわめて部分であるが、その重層的関係性はきわめて膨大である。また、薬の量的問題や臨床データの資料の蓄積、さらに実際に販売されている薬のパッケージの実体の把握も今年度の作業項目であった。シミュレーションのためのサンプルをもとに、薬の相互作用として量的にどの程度の組み合せが想定されるのか、その組み合わせがパッケージの視覚表現分類にどのように対応できるのかという見極め作業が中心となった。今年度の部分的シミュレーションの1つの結果として、パッケージ上の色彩分類に加え、形状を加味した分類項目の必要性を対応における検討項目に加えた。
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