薬は1薬1剤ではなく、1薬多剤となっており、A薬とB薬の場合、剤の関係性は多岐にわたる。現在、いわゆる成人病では、いくつかの疾患を合併している場合が多く、たとえば、高血圧症、糖尿病、肝障害などをいちどに抱える場合もある。そこでは病院からの調剤薬と個人で購入する薬局の市販薬の数の増加が考えられる。前年より考察してきたパッケージ表示のサンプルの可能性の追求と、それらの限界性の克服がおおきなテーマとなった。具体的には、パッケージ表現における相互作用の認知を前提に、他のメディアとのリンクを構築することの大切さも理解できた。ICチップの活用、家庭用電子辞書の相互作用に関するソフトウェアのあり方の検討も視野に入れた。ただ、当初より、生活者がふつうに理解できる方法はベースに置きながら考察、およびサンプル制作を続けた。デザインの視点からは、各剤の量の関係性を盛り込んだ、各剤のn次元マトリクス的な関係性をつめて考えた。また各薬の薬を飲む時間帯のこと、A薬とB薬、C薬・・の薬の数が増加したときの対応を考察した。本年は、調割薬局の専門家とも検討会を設け、具体的な方向付けの段階に進んでいる。
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