ダイバータプラズマの重要課題の一つは、ダイバータ板への熱負荷の低減、即ちスパッタリングを低減させることである。ダイバータ板スパッタリングを議論する際、ダイバータ板とイオンの位置関係から、ダイバータ板に入射するイオンの2次元的な挙動を明らかにすることが必要不可欠である。平成14年度では、1.ダイバータプラズマ模擬実験装置の開発、2.高角度分解能アナライザを用いて2次元イオン速度空間構造の計測に重点を置いて研究を行った。 1.<ダイバータプラズマ模擬実験装置の開発> 現有の直線型円筒真空容器(直径16cm、長さ100cm)の一端に、ダイバータプラズマに匹敵するプラズマ密度(10^<11>〜10^<12>cm^<-3>)を生成できるヘリカル型或いはスパイラル型のコイルを用いて誘導結合型プラズマ源(ICP)を設置した。作動ガスには、先ず、基礎的な実験として、アルゴンガスを使用し、圧力は10^<-3>Torr程度封入した。10^<-3>Torr程度の圧力で、10^<11>cm^<-3>を超えるプラズマ密度を実現させることができた。更に、磁界を印加することで、ヘリカル型の場合は、ガラス管の直径程度の円筒状高密度プラズマを生成できた。 2.<高角度分解能アナライザを用いたイオン速度分布関数の計測> 本年度は、イオン速度分布関数計測の基礎実験として、直流放電ダブルプラズマ中のイオンビーム2次元速度分布関数の計測を行った。その計測には、通常のグリッドアナライザ内のプラズマ側に接するグリッドを約10の高角度分解能を有するキャピラリープレートを置き換えた高角度分解能アナライザを用いた。アナライザを軸方向に移動させつつ回転することで、2次元イオン速度分布関数マップを2次元速度空間上に作成しイオン挙動を検討した。ビーム加速電圧に相当するイオンビームの2次元速度空間を実現する事ができた。更に、イオンビームの2次元速度空間での拡がりを評価することができた。
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