研究概要 |
研究目的:相対論を考慮した電子と多価イオンの励起過程の研究を行う。 研究実施結果: 1.水素様イオンの電子衝突による励起過程の断面積の研究を行ない、日本物理学会の欧文誌に発表した。具体的には、相対論的な取り扱いで生じる微細構造遷移間の励起断面積を緊密結合法及びクーロン・ボルン近似法を用いて多価イオンであるHe^+,C^<5+>,Ar^<17+>について発表した。これらの結果は、米国のZygelmanとDalgarnoによって発表された結果を更に精度よく計算したものである。この研究は標的に電子が2個以上束縛されている場合の基礎的なものである。 2.研究代表者(中崎)が英国のシェフィールド・ハラム大学に3週間滞在し、海外共同研究者であるK.A.Berrington教授と電子・多価イオン衝突における相対論的なR行列法に輻射減衰の効果を取り入れる共同研究を行った。本年度はプログラムの開発を行い、ヘリウム様イオン(束縛電子が2個のイオン)の標的の波動関数をS^<14+>,Fe^<24+>,Mo^<40+>、などについて変分法により求めた。更に、相対論的なR行列法を用いて、励起断面積を求めた。結果の一部は、平成15年7月に開催される原子衝突国際会議のアブストラクトとして採択され、ストックホルムにおいて発表の予定である。 3.上記の数値計算には、本研究費で購入したワークステーションを活用した。
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