研究概要 |
研究目的:相対論を考慮した電子と多価イオンの励起過程の研究を行う。 研究実施結果: 1.水素様イオンの電子衝突による微細構造遷移間の励起過程に入射電子と束縛電子間の電子交換効果を考慮した近似法を用いて励起断面積の研究を行った。緊密結合法と相対論的なR行列法で計算し比較を行い、電子交換効果の影響の具合を比較検討した。その成果を日本物理学会の欧文誌に発表した。イオンはHe^+、C^<5+>、Ar^<17+>におけるn=2の準位間の遷移について計算した。 2.相対論的なR行列法を用いて電子衝突によるヘリウム様の励起過程における励起反応係数の研究をS^<14+>,Ar^<15+>,Ca^<18+>について行い、ヴィリニウス(リトアニア)で開催された「第12回多価イオン物理国際会議」においてその成果を発表した。成果はNuclear Instruments and Methods in Physics Research Bに掲載されることが決まった。 3.電子衝突によるヘリウム様イオンの偏光度を非相対論的及び相対論的なR行列法を用いて研究した。原子番号(Z)が4,6,8,17,26,36,54の各種のイオンについて偏光度のエネルギー依存性を調べ、Zが小さいイオンでは計算に用いる状態間の結合が重要で、Zが大きくなるにつれてその効果は小さくなり、相対論的な効果が大きくなることが分かった。この成果はヴィリニウス(リトアニア)において開催された「第12回多価イオン物理国際会議」で発表され、Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Bに掲載されることが決まっている。 4.電子衝突によるマグネシウム様イオンの励起過程をR行列法により研究した。研究の対象にはSi^<2+>,S^<4+>,Ar^<6+>及びCa^<8+>を選びこれらのイオンの積分断面積、微分断面積及びストークス・パラメータを系統的に調べた。この成果を英国の物理学会誌(Journal of Physics B)及び米国の物理学会誌(Physical Review A)に発表した。
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