研究概要 |
姫路工大HIST (Helicity Injected Spherical Torus)装置では、ST (Spherical Torus)配位に対し外部トロイダル磁界を急速に反転させることで,初めのST配位とは逆極性の磁界配位を持つ反転ST (Flipped ST)の生成に成功し,この現象をはじめて実験的に実証した。平成15年度は初年度の実験結果を踏襲し、ST配位プラズマの自己反転機構だけでなく、同軸型磁気ヘリシティ注入法(略称CHI)による反転ST配位形成後の電流駆動の実証及びその電流維持機構の解明を目的として実験を遂行した。 同軸プラズマガンで生成されたSTプラズマは同軸プラズマガン電極と鎖交するオープン磁束を有しており,電極からこのオープン磁束に沿って電流が連続的に供給される。このとき磁気ヘリシティ注入が行われST配位が維持されている。これに対して反転ST配位プラズマはオープン磁束が無く電極からの磁気ヘリシティ注入は有り得ないと当初予想された。しかし,本研究によって、反転ST配位がプラズマ抵抗減衰時間よりもはるかに長い時間配位維持できることを実証した。さらに、その維持機構に着目して、ロゴスキーコイル,多チャンネル磁気プローブ群,〓プローブ,モード測定磁気プローブ群等を用いて,それぞれトロイダル電流,プラズマ配位時間変化,局所的λ値(固有値),緩和現象に伴う不安定性トロイダルモード等,多岐にわたってプラズマ特性について測定した。その結果,同軸プラズマガンから間欠的に噴出される非反転ST(初めのSTと同極性)が反転STの閉じ込められている領域(フラックスコンサーバー)に入り込み,そのとき反転STとの3次元磁気リコネクションによって磁気ヘリシティが注入され,反転ST配位が維持されることを明らかにした。来年度はこの成果を論文等でまとめ発表する予定である。
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