酸素ラジカルの空間分布を計測するためには、本手法により広範囲のラジカル密度が測定可能となる必要がある。特に低ラジカル密度の場合には温度上昇が微弱であることが予想されるため、プラズマの中性ガス温度の影響が無視できないなどの克服すべき問題点が多いことからガス温度の影響についての実験的な検討から着手した。この過程において白金表面温度のラジカル再結合(触媒作用>に対する影響が顕著であることが判明し、白金表面温度を考慮した測定システムを構築する必要があることが分かり、以下のような結果を得ている。 1.白金細線が赤熱する程度まで酸素ラジカル密度が高い状態の測定において、400K程度の気体温度は酸素ラジカル密度の導出にほとんど影響を及ぼさない。 2.酸素ラジカル密度が低い場合には白金細線の表再準度が低く、酸素ラジカルの再結合が起こりにくく、測定が著しく困難となる。 3.白金細線に通電し、ジュール熱により細線温度を800K程度に保ち、酸素ラジカルの再結合による供給エネルギーを観測することで非加熱自金線での測定下限の10^<15>cm^<-3>程度のラジカル密度に対して約二桁下の10^<13>cm^<-3>程度のラジカル密度を測定することが可能となった。 4.白金線温度が1000K程度の高温の場合には、白金線金表面に解離吸着した酸素原子が盛んに脱離し、プラズマ内の酸素ラジカル密度を増加させ、酸素ラジカル密度の正確な測定が困難となることが分かった。 5.電流加熱白金細線プローブを用いて、直流グロー放電陽光柱プラズマの管壁に取り付けたガラス細管内の酸素ラジカル密度の軸方向分布を計測することが可能となった。
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