平成14-15年度の2年間にわたり、プラズマ中の酸素ラジカル密度を簡便に、適正な精度、かつ高空間分解能を持って測定可能とするための検討を行ってきた。その概要は以下のとおりである。 (1)酸素ラジカル密度の定量的測定法の確立 白金線の加熱は酸素ラジカルの表面再結合によるものであることが予想されるので、白金線の温度とそれに見合う酸素ラジカル密度を導出した。質量分析器による測定結果と比較検討を行った結果、良い一致が見られ、白金線の温度から酸素ラジカル密度が測定できることが判明した。 (2)測定に対するガス温度の影響についての検討 比較的低密度の酸素ラジカルを測定する場合には、白金線の温度変化は微小となり、白金線周囲のガス温度の影響が無視できない可能性がある。これを解明するためにガス温度も同時に測定し、その影響を検討した結果、多くの場合影響が小さいことが判明した。 (3)低密度酸素ラジカル密度測定法の確立 白金線に通電し触媒作用が活発に起こる温度領域に白金線を保つことで、低密度時の感度低下を克服することが出来た。 (4)高空間分解測定の試み これまでに工夫してきた本手法により、プラズマ中の酸素ラジカル密度の空間分布測定を試みた。低密度領域では従来より二桁ほど低密度の状況においても測定できることが判明し、ガラス製放電管内の空間分布を測定できた。
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