研究概要 |
銅クラッドを取り付けたコンジットを持つケーブル・イン・コンジット導体を核融合炉用超伝導電磁石の導体として提案し,その有効性と応用可能性について検討を行った。その結果,次のことが明らかになった。 1.ケーブル・イン・コンジット導体のクエンチ時温度上昇を模擬するための実験を,短尺サンプルを用いて実行した。その結果,素線の集合体であるバンドル部と外周のコンジットの境界には熱抵抗が存在することが確認された。そしてその熱コンダクタンスが実測された。 2.核融合炉で使用されるクラスの大容量導体を実際に設計した。1.で測定された熱コンダクタンスを用いてクエンチ時の温度上昇を計算すると,熱抵抗の影響が大きく,コンジットの熱容量は期待できないことが分かった。 3.2.で設計した導体から機械的性能,水力学的特性を変えずに,銅クラッドを取り付けた導体の再設計を行った。そしてクエンチ時に許容できる温度を設定し,その温度以下になる最大通電可能電流値を計算した。その結果,厚さ1mm程度の銅クラッドのコンジットへの取り付けにより,最大通電可能電流値が50%以上向上することが分かった。これは,バンドル部の電流を銅クラッドヘ分流させることにより,コンジットの熱容量を有効利用できることと素線を流れる電流が減少するためである。 4.銅クラッドコンジットの応用によって,超伝導導体の大容量化,高電流密度化が可能となることが明らかとなった。 5.ステンレス配管に引抜き冷間加工を用いて銅クラットを取り付ける試作を行った。その結果,長尺の銅クラッドコンジットの製作が可能であることが分かった。
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