研究概要 |
太陽熱直膨式平板パネル(以下パネルという)を家屋の屋根に設置して蒸発器とした暖房・給湯用ヒートポンプは,日射の強度が大きくなるに従って成績係数が向上するが,パネルは空気熱を取りにくいので,日射量の少ないときや夜間には成績係数が大きく低下する.そこで,パネルと外気との熱伝達が良好なフィン付太陽熱集熱器(蒸発器)とパネルを併用することとし,並列に用いた場合と直列の場合のヒートポンプの性能について実験と解析により検討を行った.並列に用いた場合は,日射量の多いときにフィン付集熱器に溜まり込んでいた冷媒が,日射量が急激に少なくなると一気に放出されて湿り蒸気が圧縮機に流入し,圧縮機の故障の原因になる可能性のあることが判った.フィン付集熱器の後にパネルを直列にした方式においては,この問題が解決でき,良好な成績を示した.なお,解析においては,パネル出口の蒸気の過熱度を考慮に入れた解析法を開発した. 本年度の床暖房の研究においては,太陽熱集熱器を1台(2m^2)または2台使用し,太陽熱で加熱した温水を直接床下に設置したビニールパイプに通すようにし,床下水タンクの暖房効果に与える影響について検討した.室内は午前8時より翌日午前0時まで設定温度22℃でエアコンによる暖房運転を行った.外気温が平均5℃程度の時,4〜5日間の連続運転を行った場合,集熱器が1台のときの蓄熱タンク(21l入りのタンク計32個)の温度は18℃程度まで上がった.集熱器が2台の場合は蓄熱タンク温度26℃程度まで上がり,外気温が0℃程になった早朝でも床面温度は15℃程度あり,早朝の床温度の極端な低下を防ぐことができた.又,日中には室内温度が高くなって,エアコン運転は不要となり,床暖房のみの運転が可能であった.床下蓄熱タンクの下側に温水配管を設置して,エアコン暖房と床暖房を併用する本暖房方式の有効性が明らかになった.
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