研究概要 |
ヒートポンプに太陽熱・空気熱を複合利用する方式においては,パネルと空気-冷媒熱交換器を並列よりも直列にして用いる方が冷媒液が圧縮機に流入する危険が無く,良い実験結果が得られた.ヒートポンプ性能の解析には,パネルと空気-冷媒熱交換器又はフィン付太陽集熱器を併用した場合について検討を行い,フィン付太陽集熱器の必要面積を検討した.太陽電池をパネルに貼り付けて,太陽光と太陽熱を同時に利用できるようにしたハイブリッド方式の研究は進行中であり,今年度においてその結果を出せる状況にある. 従来の太陽熱利用暖房・給湯設備は,暖房負荷に対応するため,太陽熱集熱装置や蓄熱槽値が大きくなりがちである.また,夏の給湯負荷は比較的少ないので,夏においては過剰の設備となり,設備のコストが高くなる.本研究では,暖房において,太陽熱利用床暖房装置とエアコンを併用すること,また,床暖房装置は床下に多数の蓄熱タンクを設置し,太陽熱利用ヒートポンプで得られた温水を蓄熱タンク下部のビニール管に通して床を加熱する方式とすることを提案し,床面積10m^2のハウスを暖房する実験により,その床暖房方式の有効性を実証した.ビニール管内の水の温度が30〜35℃程度で300W程度の加熱を行うと,床面温度を室内空気設定温度22℃より1〜3℃程高くすることができた.ヒートポンプ単独実験により,比較的温度の低い温水を供給するのに太陽熱集熱器を蒸発器として利用したヒートポンプが有効であることが確認できた. 太陽熱の集熱には太陽熱集熱器も利用が可能である.本研究では,面積2m^2の集熱器を2台を用いた場合では,蓄熱タンクの水温が26℃程度まで上がり,外気温が0℃程度の時に,午前0時に暖房装置を止めても翌朝の床面温度は15℃程度であり,床面温度を比較的高くすることができた.
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