千葉において都市大気中の浮遊粒子状物資(SPM)の組成の測定を行うと、元素状炭素(EC)の成分が非常に多い(粒径2.1μm以下の小粒子では20-50%、それ以上の粗大粒子では10-20%)ことが分かる。これは主としてディーゼル排ガス等からの汚染によるものである。本研究は、都市大気におけるSPMのモデルを測定した組成比から設定し、それとディーゼル排ガスのエアロゾルを混合したときの光学的性質を計算し、2波長ライダーを用いて、その混合比の空間分布を求めることを目的としている。第1年度にあたる本年度は測定に基づいた組成を持つSPMの粒径分布を作成し、それに文献値から得たディーゼル排出のエアロゾルモデルを組み合わせ、どのような光学的性質を示すかを計算した。また、その測定を行うために現在1波長で測定を行っている小型ライダーを2波長で動作するように改造し、その検出部を2波長の測定ができるように設計・製作し、2波長で観測できるように改造した。さらに、ライダーデータの解析手法として、近いところから、空間分布を解析する手法を開発し、4波長ライダーのデータを用いて検証した。この手法は大気境界層の中(水平方向のときには近くのエアロゾルが一様とみなせるところ)で消散係数が等しいとか定し、その遠方ではライダー観測値に計算が合うように空間分布を定める手法で、モデルと合うように光学的パラメータを定めることが可能な方法である。これによってディーゼル粒子の混合比を求めることが可能となる。第2年度は改造したライダーを用いて都市大気の測定を行い、2波長の測定から混合比を求めることを行う。
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