都市の汚染大気におけるオゾンの光化学生成に関わるプロセスを明らかにするために、これまで知られている窒素酸化物(NO_x)や人為起源の非メタン炭化水素(NMHC)の他に植物起源のNMHCの寄与を季節変化を含めて調べることを目的とする。そのために、オゾンの光化学生成に不可欠な炭素数2〜10までの炭化水素の連続測定装置を構築し、都市大気の観測を開始した。特に植物起源の炭化水素として、イソプレン、αピネン、βピネンに注目し、他の炭化水素(主に人為起源)との比や、NO_xとの比を調べ、オゾンの日中の生成量との関係を調べる。また、NMHCの測定のほかに大気中のオゾン濃度、NO_xおよび全天日射量、オゾンの光解離に関わるB領域紫外線強度、NO_xの光解離に関連のあるA領域紫外線強度の自動連続測定も実施した。データは一分毎にパーソナルコンピュータに記録されている。 これらの測定データをもとに都市大気におけるオゾンやその前駆物質の季節変化、日変化を調べるとともにオゾン濃度の日中の増加量がオゾンの前駆物質であるNMHCやNO_xの濃度とどのような関係にあるか、またNMHCがNO_xに対して相対的に増加することによりオゾンの生成量にどのような影響を与えるかを調べている。 全ての測定装置が完成したのが昨年冬であるため、季節変化を議論できるには至っていないが、観測は継続中であり、光化学モデルの構築と測定データをモデルに取り入れたデータ解析を行う予定である。
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