研究分担者 |
流田 勝夫 宮崎大学, 教育文化学部, 教授 (40041008)
境 幸夫 宮崎大学, 教育文化学部, 教授 (50041059)
広瀬 才三 宮崎大学, 教育文化学部, 助教授 (00041054)
大河内 康正 八代工業高等専門学校, 土木建築工学科, 教授 (80124147)
小園 茂平 宮崎大学, 工学部, 助教授 (10169302)
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研究概要 |
海岸における海塩粒子の発生機構と挙動を解明するため,02年8月から03年2月に掛けて,宮崎市近郊の海岸において塩分採集を行い解析した.今回の観測では2台のアンダーセン・サンプラーで同時採集し,データ解析の信頼性を高める方法を採った.(1)アンダーセン・サンプラーの仕様に基づいた質量サイズ分布の計算法を新たに開発したこと,(2)湿度・波高と塩分濃度の間に有意な相関があることを見出したことが今年度得た成果である.(1),(2)について以下に補足する.(1)サンプラー法で得られる累積質量曲線から直接サイズ分布を求める方法(数値微分法等)は分布の極大・極小位置がサンプルごとに変動するといった難点を生じさせる.この難点を解消するため,JIS/K0302(1982年)の衝突率のデータに基づいて,捕集質量と質量サイズ分布の関係を表わす積分方程式を導き,サイズ分布についての最小自乗解を計算する方式を採った.さらに流量の異なる2台のサンプラーで同時採集し,分級精度を上げる試みを行った.この結果,サンプラーと光散乱法によるサイズ分布が対比可能であることが判った.両分布における細部の違いが物理的に有意なのかどうか,データの積み上げにより明らかになると思われる.(2)気象条件(温度・湿度・風向・風速),波浪条件(波高・周期),潮高と捕集塩分量の相関関係を分析した結果,特に湿度・波高と塩分濃度の間に有意な相関が見出され,夏期における塩分濃度増加が主に湿度に原因することが究明された.塩分量・鳳速の間に直接的相関が見られない点は,少なくとも塩分発生量に関する統計則が外洋・沿岸では異なることを示唆している.塩分量・湿度の相関については,拡散・輸送過程あるいは海塩粒子発生過程のいずれに起因するのか,今後の研究課題が明確となった.
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