1.人為的移入種の生活史を葉数相対値の季節変化で見ると、春季(花時)が0.73、初夏(種子生産季直後)が0.80、夏季(8月-9月)が0.56-0.55であり、同所に生育する在来種の初夏及び夏季の値0.09、0.00-0.04と比較して初夏-夏季の葉数滅少が少なく、これまで「外来種」として認識されてきたタンポポの既知の値に酷似していた。 2.人為的移入種の種子発芽速度は、これまで「外来種」として認識されてきたタンポポの既知の値と比較して、発芽のピーク時が4-6日目と約2-4日早い傾向があった。 3.東京23区で行なったタンポポ調査の結果、1880調査地点中、在来種の出現頻度は1.9%であった。なお、調査現場で在来種と認識された67個体のうち、55%が2倍体在来種ではなかった。これらの結果から、東京23区では在来種に酷似した形態の雑種が高い頻度で在来種と認識される可能性が示された。 4.東京23区で行なったタンポポ調査の結果、これまで「外来種」として認識されてきたタンポポ全体と在来種に酷似した形態を持つ雑種の生育地の土地利用特性には、大きな差異は認められなかった。 5.DNAのtrnF-trnLの非コード領域及び核DNAのITS領域を分析することにより雑種を判定するシステム、さらにDNA量をフローサイトメーターにより測定し、3倍体雑種と4倍体雑種を判定するシステムを開発した。 6.首都圏においてセイヨウタンポポのサンプリングを行い、27地点372個体をこれらの方法により判定したところ、87%が雑種で(3倍体雑種57%、4倍体雑種24%、雄核単為生殖雑種6%)、純粋なセイヨウタンポポと判定されたものはわずか12%であった。
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