研究概要 |
本研究では、陸上環境における放射性物質の最大のリザーバーである大地、すなわち土壌中でのPuのスピシエーションを重点的に行う。フィールドとして国内のPu汚染レベルの数〜数百倍高い旧ソ連核実験場セミパラチンスク内外の表層土壌を用いた。土壌の粒径分画、磁気分画とバイオイメージングアナライザー法を組み合わせて、種々の粒径の放射性物質を含む粒子Hot-particle(放射能の強い粒子)を定量的に探査する手法をまず確立し、それら粒子の特性を走査型電子顕微鏡(SEM)、エネルギー分散型蛍光X線分液装置(SEM-EDX)等で観察し、全体及び個々の粒子のPu測定も実施して、粒子特性とPuの関係、全体としての粒子Puの存在割合を明らかにする。また、微粒子に対しては、アルファー・トラック法を併用してPuの存在特性を考察することを目的に研究を進めてきた。 セミパラチンスク核実験場周辺のドロン村で採取した高濃度Pu汚染土壌を用いて、まず試料を<0.45,0.45-32,32-88,88-125,125-250,250-500,500-2000μmに分画し、それぞれの分画中のPu濃度の測定を測定し、アルファー・トラック法でHot-particleの存在を確かめた。その結果、土壌の125μmを境にして<125μmで濃度及びHot-particle数が高いことが解り、土壌の再浮游からの吸入被曝経路の重要性が示唆された。Hot-particleの探査については、更なる検討が必要で有り、顕微鏡下での自動測定を放医研の研究者と共同で研究を進めている。
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