研究概要 |
本研究は,診断X線による医療被曝の実態を調査・解明するために,X線機器の種類や使用法によらず,しかも極めて簡便に人体のいろいろな組織・臓器の被曝線量を測定できるように,人体ファントムの種々の臓器位置に能動型シリコンフォトダイオードX線センサーを埋め込み,X線照射による各センサーからの信号をコンピュータで取得・解析して,その場で各臓器の被曝線量を表示することが可能な,新しい型の臓器線量計測システムを開発することを目的としている。今年度は,以下に示すように,システムの各部を製作するとともにシステム全体の動作試験を実施した。 1,線量計検出器の製作と人体ファントムヘの装着:X線検出素子としてPINシリコンフォトダイオードを使用し,これに生体等価なカーボンファイバーケーブルを取り付けた線量計検出器を30個製作するとともに,これらを人体ファントム(京都科学,THRA型)の種々の組織・臓器位置に装着した。 2,検出器信号処理用電子回路の製作と線量読み取りプログラムの作成:検出器からの微弱電流を吸収線量に比例した電圧信号に変換するための16チャンネルの電子回路を製作するとともに,この信号をAD変換器を通してコンピュータに取り込むためのプログラムを作成した。 3,システムの線量校正と動作試験:電子回路の各チャンネルについて,照射線量基準電離箱を用いて線量校正し,パーソナルコンピュータに取り込んだ各チャンネルの電圧信号を吸収線量に変換するプログラムを作成するとともに,X線一般撮影装置およびCTスキャナを使用して実際に臓器線量測定を行い,システム全体の正常な動作を確認してシステムを完成させた。
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