研究概要 |
本研究は土壌で最も優占的な節足動物で,広い範囲の土壌に分布する原始的な昆虫であるトビムシを用いて,個々の種の汚染に対する感受性を個別に試験するとともに,汚染の環境指標としての利用可能性を明らかにすることが目的である.今年度の研究実績は下記の通りである. 1.日本の森林土壌で普通なトビムシ種で,重金属の汚染土壌で優占的なトビムシを選定するために,野外土壌からトピムシを採取した.得られたすべてのトピムシは実験室内の15℃インキュベーター内で飼育した.その結果,Sinella curviseta Brookが比較的容易に飼育ができ,現在も個体数を増やしているところである.また,飼育に適した餌を選定するため,ドライイースト以外のクロレラ粉末での飼育を試みた. 2.土壌動物の生態毒性学研究の世界トップレベルの研究室を訪問し,研究手法について学ぶとともに今後の研究計画について討議を行なった. 3.汚染物質(塩化銅)がトビムシ体内に吸収されたかどうかを確認するために,1週間ごとに飼育しているトビムシを固定し,X線分析を行った. 4.Folsomia candidaをいつでも毒性試験に使用できるよう,飼育室を整備し,大量飼育を開始した.
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