研究概要 |
汚染の環境指標としてのトビムシ群集の利用可能性について検討を行い下記のような成果が得られたので報告する。 1)野外土壌から選定した3種のトビムシ種、Scinella curviseta, Hypogastrura denticulate, Allonychiurus flavescensの飼育を大容暴(直径10cm、商さ7cmの円筒状)中で行った。Folsomia candidaほどの速い個体数増加は見られなかったが、現在も確実に個体数は増加中である。 2)トビムシ体内の汚染物質の吸収部位を調べるため、X線分析電子顕微鏡を用いて重金属(銅)の測定を行った。人工土壌を用いたトビムシ毒性テストに使用したFolsomia candidaの腹部横断面を測定した結果、中腸の腸管壁および体表部分に銅が観察された。また、野外の汚染土壌から採取きれたトビムシ2種、Homidia socia, Homidia sauteriにおいても同様の部位から銅が測定された。 3)栃木県渡良瀬遊水培において銅汚染の程度を測定し、汚染地域と非汚染地域のトビムシの群集構造を調べた。 4)石油汚染土壌の回復について、土壌動物の食物連鎖構造と微生物群集の活性,トビムシ毒性試験を評価した.食物連鎖構造と微生物群集は回復の程度をよく反映していたが,トビムシ毒性試験の感度は低かった.
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