研究概要 |
アオイ科ハイビスカス属の植物であるケナフから繊維を採取し,その繊維を用いて成形した繊維強化プラスチックの力学的特性を評価し、そのリサイクル方法を検討する目的で研究を行った。 繊維の採取方法については、ケナフ原木の靭皮を80℃の5wt%水酸化ナトリウム水溶液にて処理し,これを中和,水洗,乾燥して繊維を得た。繊維を高充てんさせる目的で,得られた繊維を一方向に引き揃え,これをプレスすることにより,プリフォーム中間基材を作製した.このプリフォームに不飽和ポリエステル樹脂を含浸させることによって繊維強化プラスチックを成形し、曲げ弾性率及び曲げ強度を評価した。 まず,充てん率であるが,昨年度までのランダム配向の場合には30wt%が限界であったが,ケナフ繊維を長繊維・一方向とすることにより,充てん率を約50wt%にまで向上させることが可能になった.この手法により,樹脂単体と比較して曲げ強度で約3倍,曲げ弾性率で約5倍の特性を得た. 次に,ケナフ繊維にシラン処理を施して界面の接着性の改善を試みた.充てん率の低い領域ではある程度の改善が見られたが,高充てん領域では顕著な改善が見られなかった. ケナフFRPのケミカルリサイクルを行う目的で,アルカリ水溶液による分解処理を試みた.しかし,リサイクル可能な程度に低分子量化するのは極めて困難であることが明らかになった.そこで,ケナフFRPを粉砕し,この粒子をケナフFRPに充てんする方法でマテリアルリサイクルを行った.ケナフFRP積層板の中間層に粉砕粒子を充てんした場合,曲げ物性の低下を抑えることができ,サンドイッチ板として実用可能であることを明らかにした.
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