本研究では最初にPlanctomycetales及びanammox微生物(Canidatus Brocadia anammoxidansとCanidatus Kuenenia stuttgartiensis)検出用の既存の遺伝子プローブPla46とAmx820をPCRプライマーに転用したときの増幅の特異性を明らかにした。すなわち、各種廃水での活性汚泥反応槽及び反応槽壁付着汚泥、廃棄物埋立地浸出水処理回転円盤、及び、し尿処理硝化脱窒反応槽からの汚泥試料を用いて、一段階目はPla46FとEUB-1387R、二段階目はPla46FとAmx820Rのプライマーセットとするnested PCRを行い、得られた増幅産物をPCR-DGGEに供し、さらに分離したDNA断片の塩基配列を解読し、DDBJのデータベースに登録すると同時に相同性検索を行った。その結果、Pla46FとAmx820Rのプライマーセットは、anammox微生物のほか、系統の異なる微生物群も増幅することが明らかになった。そのため、新たに、より高い特異性を持つフォワードプライマーAmx220(5'-ctcaaagaggggtcaatgtcc-3')とAmx606(5'-gaaagccttccgcttaacgg-3')を設計し、そのPCR条件を明らかにすると同時に有用性を検証した。また、anammox微生物のDNAの抽出効率を高める方法も示した。さらに、Amx606FとAmx820Rをプライマーセットと上記の汚泥試料15種で定量PCR(MPN-PCR)を行ったところ、anammox微生物は、懸濁系の反応装置では検出限界程度あるいはそれ以下であったが、回転円盤汚泥と反応槽壁付着汚泥で最大3.7×10^4MPN/mgSSを示していた。なお、後者の反応槽壁付着汚泥は、今回、初めて指摘できたanammox微生物の集積度の高い場である。
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