研究概要 |
鉄酸化細菌Acidithiobacillus ferrooxidans SUG2-2株は塩化第水銀(HgCl_2)に対して強い耐性を持っており,酸性条件下,二価水銀イオン(Hg^<2+>)を還元し金属水銀(Hg^o)を気化できる。SUG2-2株は,水銀の気化に関与する2種類の酵素活性,即ちNADPH-依存性の水銀還元酵素活性及びFe^<2+>-依存性の水銀気化活性を持っていることを再確認するとともに土壌処理の基礎研究を行った。SUG2-2株の酸性条件下における水銀気化能を実験水銀廃液からの水銀回収に利用するために,水銀廃液に存在していると思われる各種化合物のA.ferroxidans SUG2-2株の水銀気化活性に及ぼす影響を検討した。検討した化学物質のうち,AgNO_3(0.05mM),K_2CrO_7(1.OmM),システィン(1.OmM),トリクロロェチレン(1.0μM),界面活性剤(0.05%)等が,SUG2-2株の休止菌体(lmgタンパク質)と塩化水銀(0.7μM)を含む酸性水(pH2.5)からの水銀の気化活性を強く阻害した。一方,本株で処理する前に,トリクロロエチレンや洗剤等をフェントン法で前処理して分解しておくと水銀気化に対する阻害は無くなった。岡山大学の実験水銀廃液Aからの水銀の気化回収について検討した。二価鉄を添加した酸性水(pH2.5)20m1中に,水銀濃度として17.5nmolになるように実験水銀廃液び本株の休止菌体(タンパク質量0.05mg)を添加し,30℃で10日間振とうした。その結果,全水銀の47%が気化回収された。同廃液をフェントン法で前処理すると全水銀の約100%を気化回収させることが可能であった。また,界面活性剤と有機水銀p-chloromercuribenzoic acid(PCMB)を含む実験水銀廃液Bもフェントン法で前処理することで全水銀の約100%を気化回収させることが可能であった。さらに高濃度水銀耐性株を調整し諸性質の検討を行っている。
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