研究課題/領域番号 |
14580593
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
重松 亨 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (10315286)
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研究分担者 |
木田 建次 熊本大学, 工学部, 教授 (00195306)
森村 茂 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (20230146)
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キーワード | メタン発酵 / メタン生成古細菌 / 微生物叢 / 遺伝子プローブ / 16SrRNA / 廃水処理 / 嫌気性処理 / 安定同位体 |
研究概要 |
1.酢酸分解連続培養系の解析 メタン生成古細菌のMethyl-S-CoM reductase遺伝子(mcr)を標的としたRT-PCR実験により、メタン発酵槽内のメタン生成古細菌の活性を評価した。高希釈率(0.6d^<-1>)および低希釈率(0.025d^<-1>)で運転する酢酸分解メタン発酵槽内からRNAを抽出し、RT-PCR実験を行った。得られたRT-PCR産物をクローン化し、塩基配列を決定した。その結果、両希釈率条件において、Methanosarcina属酢酸・水素資化性メタン生成古細菌およびMethanoculleus属水素資化性メタン生成古細菌のmcrの転写が確認された。低希釈率条件では、高希釈率条件よりもMethanoculleusのmcrの発現量が高いことが判明した。 ^<13>Cで標識した酢酸ナトリウムを基質としたトレーサー実験の結果、高希釈率条件の発酵槽内液を用いた場合、酢酸資化性メタン生成古細菌によるメタン生成反応が優占していることが示された。反対に低希釈率条件の発酵槽内液を用いた場合には酢酸酸化細菌と水素資化性メタン生成古細菌の共生によるメタン生成反応が優占していることが示された。 2.プロピオン酸分解連続培養系の解析 プロピオン酸を分解するメタン発酵槽内からDNAを抽出し16SrDNAのクローン解析を行った結果、希釈率の違いにより以下のように検出される古細菌の種類に差が見られた。低希釈率条件(0.01d^<-1>)ではMethanosaeta属酢酸資化性メタン生成古細菌およびMethanoculleus属水素資化性メタン生成古細菌が検出された。高希釈率条件(D=0.3d^<-1>)では、Methanoculleus属とMethanospirillum属のみが検出された。一方、希釈率の違いにより、プロピオン酸の分解に関与していると考えられる細菌の種類にも差が見られた。低希釈率条件ではSyntrophobacter属プロピオン酸分解共生細菌が多く存在していた。しかし、高希釈率条件ではDesulfotomaculum属の硫酸還元菌に近縁な細菌が優占している結果が得られた。
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