研究概要 |
マングースを効果的に捕獲する方法を開発するために,各種の臭いと音によるマングース誘引効果を確認した。飼育下で試行した臭いは,マングース(雄および雌),クマネズミ,リュウキュウジャコウネズミのgland lure(GL)で,陽性対照には現在の捕獲事業で用いられているスルメ,陰性対照にはGLを入れる空ボトルを用いた。飼育下の試行では,雌のマングースは,ジャコウネズミGL,クマネズミGL,マングースGLの順に興味を示し,これらのGLに接近する回数と時間が多い傾向を示した。また,これらのGLに噛みつく行動にも同様の傾向がみられた。これらの結果は第3回国際野生動物管理学会(2003年12月,NZ)で発表した。以上の他に,マタタビ・キャラメルコーン・マングースの糞,白色レグホンGL,合成揮発性脂肪酸などを予備的に試行したが,芳しい誘引行動はみられなかった。音については,マングースの新生子の鳴き声を増幅して誘引を試みたが,効果はみられなかった。 以上の飼育下の結果から,ジャコウネズミGLとクマネズミGLを用いて,実際のフィールドにおいてマングースの誘引捕獲を試みる予定であったが,GLの量が十分確保できないため,雄と雌マングースのGLを用いて,フィールドでマングースの誘引捕獲を二回反復法で試みた。その結果,雄のGLを設置したワナラインでは,対照ワナラインと同様以下の捕獲効率であった。雌のGLを設置したワナラインでは,対照よりも高い捕獲効率を示した。また一回目の誘引捕獲では,両GLのワナラインは,対照ワナラインよりも早い時期にマングースが捕獲さる傾向が見られた。しかし,いずれの場合も劇的な捕獲効率の差はみられなかった。現在,詳細を分析中である。 今後は効果的な捕獲方法としての誘引,生餌,毒餌などの検討,ならびにマングースの移動阻止方法の検討など,多角的な戦略構築のための基礎検討を実施する。
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