研究概要 |
青森県下北半島における調査で下記の結果を得た. 1.識別個体の成獣メス4頭について,昨年度および今年度の繁殖状況を確認した.昨年度生まれの1年子は2頭,今年度生まれの当年子は0頭であった. 2.森林下層植生に対するカモシカの採食圧を明らかにするため1998年に設定した試験区(2×2mの柵試験区と同面積の無柵試験区(対照区)5組)において,柵設置後4年後の追跡調査を行った.主要食物であるオオバクロモジの樹高は,柵区では34cm→62cmとなったのに対し,無柵区では32cm→38cmにとどまった.食物となる冬芽の総数は,柵区では1039個→914個,無柵区では1268個→826個であり,減少度合いは無柵区で大きかった.冬芽の層別構造においても,柵区と無柵区との間で差異が認められた. 3.識別個体にパラポックスウイルス感染症の発症が確認された.2002年11月に2頭,2003年2月に新たに3頭が発症した. 上記の調査の他,なわばりサイズ,食物条件,繁殖状況等に関する下北半島との比較対照調査地域として長野県上高地を新たに選定した.今年度は関係者との協議および協力者による予備調査を実施した.
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