生合成酵素を用いた非天然型新規化合物ライブラリーの構築

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14580613
• 研究機関: 静岡県立大学
• 研究代表者: 阿部 郁朗 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (40305496)
• キーワード: 非天然型天然物 / 植物ポリケタイド合成酵素 / カルコン構成酵素 / スクレアン環化酵素 / 環状ポリプレノイド / 生合成酵素 / 化合物ライブラリー / 酵素反応

研究概要

1.カルコン合成酵素は、1分子のρ-クマロイルCoAをスターターとして、3分子のマロニルCoAを順次縮合の後、テトラケタイド中間体の生成を経て、新たに芳香環を形成する高等植物に特異的なIII型ポリケタイド合成酵素である。我々は本酵素が広範な基質特異性と触媒機能の多様性を示すことを見出し、(1)スターターユニットとなるρ-クマロイルCoAや、(2)ポリケタイド鎖の伸長ユニットとして機能するマロニルCoAの、アナログ化合物をそれぞれ作用させることにより、非天然型新規ポリケタイドライブラリーの構築を報告した。また、新たに酵素反応の基質として、両ユニットのアナログ化合物を同時に用いることにより、非天然型ポリケタイド化合物の創出に成功した。
2.多様な構造と生理活性を有するトリテルペンの生合成において、その基本骨格を決定する微生物由来スクアレン環化酵素をとりあげ、化学的に合成した基質アナログを作用させることにより、6環あるいは7環以上の高度の環構造を有する非天然型新規環状ポリプレノイドの人為的な生産を試みた。今回、C_<35>(=C_<15>+C_<20>)ポリプレンを中等度好熱好酸菌、Alicyclobacillus acidocaldarius由来のスクアレン環化酵素に作用させることにより、6環性の新規骨格をもつ非天然型ポリプレノイドの酵素合成に世界に先駆けて成功した。また、新たにC_<40>(=C_<20>+C_<20>),C_<40>(=C_<15>+C_<25>)などのポリプレンを合成して酵素変換を行った。

研究成果

• [文献書誌] I.Abe, H.Tanaka, H.Noguchi: "Enzymatic Formation of an Unnatural Hexacyclic C35 Polyprenoid by Bacterial Squalene Cyclase"J. Am. Chem. Soc.. 124. 14514-14515 (2002)
• [文献書誌] I.Abe, Y.Takahashi, H.Noguchi: "Enzymatic Formation of an Unnnatural C6-C5 Aromatic Polyketide by Plant Type III Polyketide Synthases"Org. Lett.. 4. 3623-3626 (2002)
• [文献書誌] I.Abe, Y.Takahashi, W.Lou, H.Noguchi: "Enzymatic Formation of Unnnatural Novel Polyketides from Alternate Starter and Non-phisiological Extension Substrate by Chalcone Synthase"Org. Lett.. 5(in press). (2003)
• [文献書誌] I.Abe: "Galloyl Esters as Potent and Selective Inhibitors of Squalene Epoxidase"Recent Res. Devel. Biophys. Biochem.. (in press). (2003)
• [文献書誌] I.Abe: "Inhibition of Cholesterol Biogenesis by Tea Polyphenols"Foods Food Ingredients J. Jpn. 204. 12-16 (2002)
• [文献書誌] I.Abe: "Search for Biologically Active Novel Compounds Based on Catalytic Mechanism of Biosynthetic Enzymes"Nat. Med.. (in press). (2003)