研究概要 |
和漢生薬の蒼朮(Atractylodes lancea DC.の根茎)から精製された腸管パイエル板免疫担当細胞機能賦活化アラビノガラクタン(ALR-5lla-1-1)の活性発現に対して関与する糖鎖構造部分を構造特異的糖鎖分解酵素を用いて検討した。その結果、β-D-(1→6)-galactoseを含むgalactose鎖がβ-D-(1→3)-galactan主鎖に側鎖として結合し、集積構造をとることにより活性を発現することが強く示唆された。蒼朮活性アラビノガラクタンのβ-D-(1→3,6)-galactan構造部分から遊離させたオリゴ糖側鎖を精製し、その構造を解析した結果、これらが重合度2〜8までのβ-D-(1→6)-galactoseのみからなる直鎖オリゴ糖であることを同定した。人工コアを用いたこれらのオリゴ糖側鎖からの人工糖鎖クラスターの調製は立体障害などのために困難であることが明らかとなったことから、β-D-(1→3,6)-galactan構造を活性発現部位とする腸管免疫調節多糖を蒼朮以外のナイモウオウギや食用植物などの天然植物素材から探索し、これらの活性多糖のβ-D-(1→3,6)-galactan構造中のオリゴ糖側鎖群を多変量解析を用いて比較する方法論を構築した。その結果、活性多糖群に共通して含まれるオリゴ糖鎖として50種のオリゴ糖側鎖から5種のオリゴ糖鎖が選別され、これらが活性発現に関与するオリゴ糖側鎖としての候補となることを推定した。
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