研究概要 |
スプライシングの反応では、まず5'スプライシング部位へのU1 snRNPの結合が、起こり、3'スプライシング部位へのU2AF蛋白質への結合が起こる。U2AF蛋白質は、SF1蛋白質と結合しており、SF1は、最初branch部位に結合しているが、U2 snRNPが、その後この部位に結合して移り変わる。本年度は、このスプライシング反応で働く蛋白質について、重要なドメインについて構造生物学的な解析を行っていった。 1.SURPドメインは、U2 snRNPの構成成分であるSF3a 120K蛋白質やSF4蛋白質などにあらわれるドメインであり、いまだにその構造が解かれていない。本研究では、SF4蛋白質にあらわれるふたつのSURPドメインについて構造解析を行い、このドメインがαヘリックスから構成されるドメインであることを明らかにした。 2.U2 snRNPの構成成分であるp14蛋白質は、SF1の後に、branch部位を認識する蛋白質として知られているが、この蛋白質が、やはりU2 snRNPの構成成分であるSAP155蛋白質の中のアミノ酸50残基程度で構成されるに強く結合することを明らかにした。この部分とp14は、複合体にすると安定に存在するが、この部分がないとp14蛋白質は、不安定である。P14蛋白質について、13C,15N安定同位体標識を行った試料を作成し、SAP155のフラグメントと複合体を作らせてNMR測定を行ったところ、良好なスペクトルが得られ、p14が構造的にも、SAP155と結合し、安定化していることが明らかになった。現在は、NMR法を用いて複合体の構造解析を進めている。 3.さらに、U2AF65蛋白質のRBD3ドメインが、SAP155の中で、p14とSAP155の結合部位のN末端部分にあらわれる領域に、結合することを示唆する実験結果を得た。
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