研究概要 |
(1)非筋細胞ミオシンIIのフィラメント形成の分子機構、(2)細胞内でのミオシンII重鎖アイソフォーム(MHC-IIA,-IIB)及び、調節軽鎖アイソフォーム(nmRLC(非筋型),smRLC(平滑筋型))の局在、(3)ミオシンIIBの尾部と相互作用するタンパク質の探索、(4)微細加工シリコン基盤上での細胞内収縮装置の形成について研究し、いくつかの新たな知見を得た。 (1)MHC-IIBのC端領域の2か所、35アミノ酸残基(1729-1763;nACD1と命名)と42アミノ酸残基(1875-1916;nACD2と命名)がフィラメント形成に必須であることを明らかにした。またモデル計算によりミオシンIIB尾部のα-helical coiled-coil構造の表面電荷分布を構築したところ、nACD1内にマイナス電荷、nACD2内にプラス電荷のクラスターが存在することがわかり、この2つのクラスターの静電相互作用によりフィラメントの核が形成するというモデルを提唱した。 (2)ヒト繊維芽細胞MRC-5をシリコン基板表面で培養した場合、細胞の移動時にMHC-IIAが前方にMHC-IIBが後方に際立って局在することを見いだした。また2種類の調節軽鎖アイソフォーム(nmRLC, smRLC)のC端にGFPを融合したタンパク質を細胞内に発現させたところ、両アイソフォームともストレスファイバーに局在し、両アイソフォーム間で違いは見られなかった。 (3)ブロットオーバーレイ法によりミオシンIIBの尾部と相互作用するタンパク質の探索をし、マススペクトルによる同定を行ったところ、2つの候補のタンパク質を見つけた。現在、細胞内での相互作用を解析中である。 (4)表面を3次元的にパターン化したシリコン基板上においてパターンに応答したストレスファイバー及び接着斑の形成がおこることがわかった。
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