研究概要 |
(1)非筋細胞ミオシンIIのフィラメント形成の分子機構、(2)調節軽鎖アイソフォーム(nmRLC(非筋型),smRLC(平滑筋型))の局在、(3)ミオシンIIBの尾部と相互作用するタンパク質の探索、(4)微細加工シリコン基盤上での細胞内収縮装置の形成について研究し、いくつかの新たな知見を得た。 (1)ミオシンIIB重鎖の尾部α-helical coiled-coli棒状構造領域内に、自己会合によるフィラメント形成に必須な領域(N1,P1,P2)を生化学的実験及びrod領域の分子モデリングにより特定した。これらの結果に基づき、3カ所での静電相互作用によるミオシンモノマーの分子間antiparallel相互作用(核形成過程)とparallel相互作用(伸長過程)とからなるフィラメント形成の分子機構を提唱した。また、二つのアイソフォームIIAとIIBによってできるフィラメントの様式を、それぞれの尾部フラグメントを用いて蛍光相関分光法及び、蛍光相互相関分光法によって解析したところ、in vitroにおいてはヘテロフィラメントが形成され、一度できたフィラメント間でもフラグメントの交換が常に起きているという結果を得た。(2)nmRLC-GFP及びをsmRLC-GFPをヒト繊維芽細胞腫MRC-5 SV1に導入し蛍光を観察したところ、どちらのRLC-GFPもストレスファイバーに局在し、アイソフォーム間での差異は見られなかった。(3)ブロットオーバーレイ法によりミオシンIIBの尾部と相互作用するタンパク質の探索をした。脳に多く発現している125kDaのタンパク質が候補として見つかった。(4)表面を3次元的にパターン化したシリコン基板上においてパターンに応答したストレスファイバー及び接着斑が形成された。接着斑近傍でRLCが二重リン酸化されて、特に活性化している様子が見られた。
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